肌愛レッスン:肌のしくみ

お肌が基礎化粧品を選んだら・・・

1.肌のしくみ

皮膚は、表面からa.表皮 b.真皮 c.皮下組織の順に構成されています。

皮膚の構造

a.表皮

表皮には、バリア機能を持つ角質層と、肌が生まれ変わるところであり、肌の色を決め、時にはシミをつくる基底層があります。

健康な肌と乾燥した肌 ●角質層(角層)
肌の一番表面にある角質は、死んだ細胞の部分であり、少しずつ自然に剥がれ落ちていきます。これが垢と言われるものです。

非常に薄い角質層には、外からのものが体の中へ入らないよう、また体の内部の水分が外へ蒸発しないようにする働きがあります。
こういったバリア機能によって、皮膚に触れる全てのものから体をまもっているのです。
また健康な角質層は、自分自身で保湿機能を備えています。
細胞間皮質(主にセラミド)が細胞どうしの隙間を埋めてくっつける役目をしています。このため、角質層の水分が蒸発して外に出ていきにくい仕組みになっています。また、角質細胞の中にあるアミノ酸などの天然保湿因子は、水分を吸着する性質が強く、実際に水分と結合して内部にとどめています。
乾燥肌は、このような保湿機能の低下が考えられます。
また乾燥肌になるとバリア機能も損なわれ、外からの刺激に弱くなり敏感肌や肌荒れになります。
そこで、最近の化粧品には、皆さんもよく耳にするようになった、セラミドやアミノ酸が配合されているのです。

表皮のターンオーバーの仕組み ●角質層の下の表皮
角質層の下にある表皮細胞は、角質層と違って生きた細胞でできています。
生きた細胞ということは、細胞一つ一つに遺伝情報の詰まったDNA(細胞核)が存在するのです。
よって、外からの刺激に対してその情報を神経に伝えたり、ときにはアレルギー反応をおこすこともあります。
表皮の一番下にあるのが基底層で、そこには基底細胞があります。
基底層には表皮細胞が生まれる工場の働きがあります。
基底層では、基底細胞が分裂し、徐々に上へ押し上げられ、角質層の手前で細胞核が消滅し、死んだ細胞になります。こうやって基底細胞が角質層に達するまで約2週間かかります。
そして角質層となり、垢となって肌の表面から剥がれおちるまでが約2週間かかります。
表皮の細胞は、絶えずこのサイクルを繰り返しているのです。これが、表皮のターンオーバー(新陳代謝)と言われるものです。
基底層では、血液から栄養分と酸素を受け取って、新しい細胞が作り出されるため、たばこなどで血行不良であったり、ダイエットなどの栄養不足の場合、ターンオーバーに支障をきたします。
肌のくすみやごわついた感じは、加齢や血行不良・栄養不足などによるターンオーバーが遅くなることも原因の一つと考えられます。

色素細胞(メラノサイト) ●基底層
表皮の一番下にある基底層には、肌の色を決めている色素細胞(メラノサイト)があります。この色素細胞から生まれるメラニンの多さで、色黒であったり色白であったりします。また色素細胞は、紫外線や摩擦などの外部からの刺激で活性化し、メラニンをたくさん生み出すのです。
また、女性ホルモンなどの内部情報により色素細胞が活性化することがあります。これが、肝斑といわれるものです。
メラニンは、真皮に紫外線が届かないように紫外線から守る黒いカーテンのような役目をしています。よって、色の白い方は、色の薄いカーテンの下で暮らしているので紫外線ダメージを受けやすいのです。
生成されたメラニンは、表皮のターンオーバーと同様に基底層から徐々に上へ押し上げられ、最後には垢となって剥がれ落ちていきます。
ところが、紫外線などで過剰な刺激を受けると、肌を守るため色素細胞は活性化しメラニンを過剰生産します。活性化した色素細胞は、過剰な刺激を受けたことが情報となり、そのままメラニンを生産し続けるのです。
このようにして、メラニンの過剰状態の部分は、外から見るとその部分だけ肌の色が黒っぽく濃く見えます。これが、シミです。
また、基底層は強い膜のようなものでできており、真皮を守る役目をしていますが、年齢とともに弱くなり、メラニン色素が基底層より下の真皮へ落下すると、表皮のターンオーバーのように上へ押し上げられることはなく、シミになります。これが、若い頃よりシミが多くなる一因です。

b.真皮

表皮の下の部分にあり、肌のハリと弾力をつくり出します。
真皮のほとんどは、線維とその間を埋める基質と呼ばれる成分から成り立っており、いずれも真皮内の線維芽細胞からつくられます。
●線維
真皮の主成分はコラーゲン(膠原線維)で、線維の約90%を占めます。コラーゲンはゴムのように弾力をもった線維なので、肌は押しても元に戻りますし、多少は伸び縮みします。
しかし、加齢や紫外線によって、劣化し古いゴムのように弾力を失います。
また、古くなったコラーゲンは酵素などで分解されます。
線維芽細胞から新しくつくり出されていたものも、加齢に伴い、ほとんど新しくつくり出されることはなくなります。そのため、コラーゲンはどんどん古くなり劣化し、量も減っていくのです。これがシミ・たるみの原因となるのです。
線維には、コラーゲンの他に、コラーゲンの線維をところどころでつなぎとめるようにして支えている、エラスチン(弾性線維)があります。
線維は真皮内を網の目のように走り、肌のハリや弾力を生み出しています。紫外線の刺激で、コラーゲンは小さく切断され、エラスチンは変形します。よって、紫外線の影響により、肌のハリや弾力が奪われ、シワができるのです。若い肌は新しい線維が次々と生まれるので気にならなかったが、加齢に伴い再生能力の低下した肌では、深いシワが目立ってきます。

●基質
真皮にはりめぐらされたコラーゲンとエラスチンの網目構造の間を埋めるのが、基質と呼ばれるヒアルロン酸です。
ヒアルロン酸は、ゼリー状の物質で水分を含む力が非常に強く、肌の弾力をつくります。
真皮を瑞々しく保つヒアルロン酸ですが、年齢とともに減少するため、徐々に真皮の水分も減っていきます。よって、一番ヒアルロン酸が多くあるのは、赤ちゃんの肌です。
また、ヒアルロン酸は真皮だけでなく、関節内で潤滑油のような役目をしたり、眼の中の水分維持をするなど、人体のあちこちで水分を維持してます。

●皮脂線
皮脂線では、毛穴の中に皮脂が分泌されます。その皮脂は毛をつたって肌の表面に排出されます。

●汗腺
汗腺では、汗が分泌されます。
汗を出す汗腺には、2種類あります。
サラッとした透明な汗を分泌するエクリン汗腺と、黄色いネバネバとした汗を分泌するアポクリン汗腺があります。
エクリン汗腺は全身に分布していて、アポクリン汗腺は毛穴に付着していて、脇の下、耳、陰部、乳輪、へそにだけ分布しています。

c.皮下組織

皮下組織は、皮膚(表皮・真皮)と、その下にある筋肉、骨との間にある部分で脂肪を多く含んでいるため、皮下脂肪組織とも呼ばれています。
クッションの様な働きをしているもので、皮膚に外傷を受けにくくするとともに、その下の骨、筋肉が傷つけられないようにしています。
また、脂肪は熱伝導率が低いために保温作用としての働きもあります。
さらに、余分なカロリーを皮下脂肪として蓄える貯蔵作用の有しています。